【バチカン】教皇フランシスコの異例の葬儀

ローマに夜が明けた瞬間、1人の男が静かに運命を選びました。
教皇フランシスコ。
彼はバチカンではなく、テベレ川向こうのサンタマリア大聖堂を「永遠の家」に選んだのです。
4kmの距離に込められた、150年ぶりの異例の決断。
豪奢な三重棺も、荘厳な式台も拒みました。
「普通のクリスチャンとして眠りたい」と。
祭壇近く、「平和の女王」像のそばに眠ることを望みました。
病床の時も車を停め、祈った聖母の前です。
教皇庁は儀式を簡素化する新たな手順を発表。
参列者はサンピエトロで、閉じられた棺を静かに拝みます。
日程は、死去から6日後が想定されています。
謙虚な生涯は、最後まで形式に縛られませんでした。
古代モザイクとグレゴリオ聖歌に包まれ、ローマ市民が見守ります。
世界が注目するこの旅路は、権威ではなく慈愛を語るものとなるでしょう。
前教皇ベネディクトの簡素な葬儀をきっかけに、フランシスコは決意していました。
無駄な儀式はすべて削ぎ落とし、棺もただ一重の木だけ。
「牧者であって権力者ではない」――その信念は、死後も貫かれます。
静けさこそ、彼の最後のメッセージでした。